survivor story Shelly Baker

サバイバーストーリー:シェリーベイカー(Stage4 ROS1+)

ゲノム検査は非標準的な膵臓がんの治療(ROS1阻害剤)に導いてくれる

著者 シェリーベイカー

2019年5月10日

•自分達で膵がんについて調べ、治療前に遺伝子検査を受けることに
•臨床試験に入り初回治療を受けることができた
•分子標的療法を含む一連の非標準的治療
•SBRT放射線療法、外科手術、その他の試験薬

私たち家族の希望、忍耐力、機知、そして強さについてお話したいと思います。

2016年2月16日に、私たち家族の生活は永遠に変わりました。 52歳のときに、私の夫のリックは、膵頭部に5 cmの腫瘍がみつかり、広範囲の肝転移を認めたステージ4の膵臓がんと診断されました。リックは、膵臓がんの危険因子が全くない、健康で活発な人でした。彼は何年もの間、消化器系の問題に苦しんではいましたが、慢性膵炎であると診断されたことは一度もありませんでした。彼は何年にもわたって体重減少、胃の痛み、そして背中の痛みを経験してきました。しかし我々は(この膵臓がんという)壊滅的な診断を想像しませんでした。

■研究、分子プロファイリング、そして実験的治療

リックが膵臓がんと診断されると、我々はすぐに研究と調査を始めました。すぐに我々はゲノム検査に導かれました。ゲノム検査を受けると彼の癌におけるいくつかの遺伝子の突然変異が明らかにされました。注目すべきことに、彼の膵臓がんにはROS1融合遺伝子、体細胞BRCA2突然変異、そしてKRASの欠如がありました。

リックは、カナダのオンタリオ州ロンドン市にある私たちの故郷であるロンドン健康科学センターのスティーブンウェルチ博士と最初の治療を始めました。ウェルチ博士はゲムシタビンとアブラキサンの標準療法にデムシズマブ(demcizumab)※という治験薬を組み合わせた臨床試験にリックを参加させました。これは主人が耐えた長い治療リストの最初の治療となりました。広範囲にわたる調査、機知、旅行、そして前向きな思考を通して、リックは「膵臓がんの標準的な治療」を次のレベルに引き上げることができました。がんが進行する前に、この臨床試験で主人は15サイクルの治療を完了しました。

※GA+試験薬デムシズマブを評価するYOSEMITE第2相試験は、試験薬の組み合わせがGA標準療法より良好な成績を示すことができなかったため中止されました。

我々による継続的な調査の結果、肝転移を対象とする治療法が示唆されました。これは地元の病院ではサポートされていないか、利用することができませんでした。主人は、ドイツのフランクフルト大学で、5ヶ月間に渡って一連の肝動脈化学塞栓療法(transcatheter arterial chemoembolization:TACE)を受けることを選択しました。リックは地元の病院で全身性のFOLFIRINOX療法を受けながら、フランクフルト大学におけるTACE療法を組み合わせました。 6回のTACE治療と5回のFOLFIRINOX治療を完了した後、リックのがんはやや安定し、彼の肝臓は治療に反応してくれました。この期間中、私たちはPerthera社によるプロテオミクス解析をすすめ、これを以前の遺伝子解析の結果と組み合わせました。Perthera社は潜在的な将来の治療法選択肢の加重リストも提供してくれました。

彼の癌はやや制御されているので、主人のがんにみられた稀なROS1融合遺伝子を標的とするチロシンキナーゼ阻害剤であるエントレクチニブ(Entrectinib)の臨床試験に参加することに決めました。エントレクチニブ(中外製薬)は様々な癌を有する患者に有望であり、化学療法よりも毒性が低いとされています。 マイケル・ピシュベイアン博士(当時はワシントンDCのジョージタウン・ロンバルディ総合がんセンター勤務でしたが、現在はヒューストンのMDアンダーソンがんセンター)のケアのもと、この臨床試験に7ヶ月を費やし、元気で仕事、旅行に戻り、多くのスポーツにも参加することができました。 リックは副作用をうまく管理しましたが、当初は激しい副作用がありました。

■外科手術、そしてより実験的な治療

この優れた反応と安定したがん、そしてもちろん調査の継続により、リックはジョンズホプキンス大学病院(メリーランド州ボルチモア)で、2017年の夏にクリストファー・ウルフギャング博士による外科手術を受けることができました。原発性膵腫瘍に対してはサイバーナイフ(CyberKnife)を使用した放射線療法、肝腫瘍に対してはY 90の放射線塞栓術を行いました。これらの放射線治療と外科手術からの回復のため、厳しい夏を過ごしましたが、しかし、主人は合併症もなくよく頑張りました。

手術の後、彼は数ヶ月間は安定していましたが、結局肺転移が検出され、進行してしまいました。 そこでROS1融合遺伝子を対象とする別の分子標的治療を続けることにしました。ROS1融合遺伝子の癌に関する我々の継続的な調査は、胸部腫瘍専門医であるマサチューセッツ総合病院(マサチューセッツ州ボストン市)のアリス・ショー博士に導きました。ショー博士はROS1融合遺伝子による肺癌を専門とし、2018年4月に患者としてリックを受け入れることに同意してくれました。先生はリックがロラチニブ(Lorlatinib)と呼ばれる次世代の実験的ROS1阻害剤を試すことを勧めてくれました。それは肺癌患者のための臨床試験で使用されていました。そして、先生はリックを一人で行うコンパショネートユース試験に入れるためにファイザー(医薬品製造業者)から特別な許可を得てくれました。

リックは試験薬すぐに反応し、CA 19-9と腫瘍退縮の有意な低下を経験しました。この分子標的治療を受けて1年近く経った後も、彼の画像はほぼ安定しており、我々は継続的で永続的な反応を期待しています。このターゲットを絞った治療アプローチのお陰で主人は非常にアクティブであり続けることができ、旅行、スポーツ、サイクリングなどを楽しむことができました。私達はこの11月に30周年目となる結婚記念日を迎えることもできました。

ショー博士と先生のチームが特別なアクセスを得て、ロラチニブによる肺がんの臨床試験に入れてくださったことにとても感謝しています。また、地元のウェルチ博士と、そして今度は2018年に主人のケアを担当してくださるようになったマーク・ビンセント博士とも協力してくださっていることに感謝しています。リックがいま治療を受けているロラチニブにもある時点で耐性ができるだろうと予想しているので、私たちは最新の遺伝子検査の結果に基づいて免疫療法や分子標的療法を含む他の臨床試験の調査も続けています。

■他の患者へのメッセージ

新たに膵臓がんと診断された方、以前から治療を受けている患者さんに対する私たちのメッセージは、可能な限りご自分の癌について学ぶことです。ゲノム検査を行い、腫瘍生物学に基づいて、あなたの治療選択肢について調査してください。私たちは、論文を読み、他の患者や医師とも連絡を取って、非標準的な治療法や見込みのありそうな臨床試験を見つけ、それらを組み合わせることによって、この病気の一歩先を行くように努めてきました。

癌は消えましたか? いいえ、しかし、進行がんと一緒に暮らすとき、私たちは毎日自分たちが勝っている、生き残っていることを祝うことにしています。リックは信じられないほどのファイターであり、本当に感動的です。診断から3年が経った今も、神の奇跡に感謝し、毎日感謝の気持ちで生き続けています。

 

(Source:Survivor Story-Let's Win Lustgarten Foundation)
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<免責事項>この医療記事は、サバイバーの経験を紹介する目的で書かれています。特定の治療法や薬の使用を推奨するものではありません。ご自身の病状については、担当医とよく話し合ってください。このウェブサイトの情報を利用して生じた結果についてPanCANJapanは一切責任を負うことができませんのでご了承ください。

 

 

 

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