腹膜播種とがん性腹水

ascites

腹膜播種とがん性腹水

Peritoneal Dissemination and Malignant Ascites

■腹水とは

腹水は、腹部(胃や腸を包む腹腔)に体液が異常に蓄積すること、またはその体液を表します。この余分に集積した体液は腹部を膨らませ膨張させます。腹水の原因としては、門脈圧亢進、血漿浸透圧の低下、腹膜の炎症やがんなどがあります。がん性の腹水は、がんが元の部位から腹膜に広がったときに起こりやすくなります。

腹膜にがんが広がると、刺激を引き起こすため、この刺激を和らげようと腹部内に液体を産生します。

がんが肝臓または血液を肝臓に運ぶ門脈に広がると、血圧が肝臓内で上昇し循環を損なうことがあります。体液が血管やリンパ管から滲み出て、その量が多くなり、腹部に体液が蓄積します(お腹に水がたまる状態になります)。

肝臓が損傷すると、血中タンパク質が少なくなることがあります。このことは、体の体液バランスを崩壊させ、腹部を含むからだの組織内に体液を集めることになります。

もし、がんがリンパ系を遮断すると、余分な液体を効率よく排出することができなくなり、腹部に液体が蓄積します。

 

■腹水の徴候と症状

腹部の少量の液体であれば、通常症状を起こしませんが、液体の量が増えるにつれて、腹部が膨らみ、皮膚が腹部を横切って伸びてきて、臍(へそ)が平らになったり、押し出されたりします。これは腹水によって胃や肺に圧力がかかるためで、さらに他の症状を引き起こす可能性があります。腹水の兆候と症状には以下のものが含まれます。

l  腹部腫脹(しゅちょう)、不快感およびウエストサイズの増加

l  呼吸困難と息切れ

l  食欲の減少と膨満感(ぼうまんかん)

l  腹圧増加または下腹部の痛み

l  消化不良

l  体重の増加

l  疲労

l  便秘

l  吐き気

l  足首腫脹

これらの問題が発生した場合、または腹水治療を受けても症状が改善しなかった場合は、ご自身の医師または医療チームに伝えてください。

 

■腹水貯留の治療法

腹部内の液体貯留は、いくつかの方法で対処することができます:

1.腫瘍の治療 - 化学療法または手術によって効果的に治療を行えば、腹部の体液貯留を減少させる効果が期待できます。

2.利尿剤 - 利尿剤は、腎臓から多くの水を尿として排出させるため、腹部に体液が蓄積することを遅らせることができます。

3.腹水穿刺術 - 腹水の蓄積が中度から重度の場合は、穿刺(せんし)と呼ばれる方法で液体を排出します。穿刺は、チューブに取り付けられた針を腹腔内に挿入し、余分な流体をゆっくり排出します。余分な液体を除去するのに必要な時間は、除去する必要量によって異なります。少量の液体を排出するのであれば外来で処置できますが、大量の液体を除去する必要がある場合、入院する必要があります。

腹水穿刺術を受けると症状が一時的に改善することがありますが、腹部内に余分な体液が戻ってきて穿刺を繰り返さなければならないことがあります。多量の液体蓄積が生じた患者の中には、腹水を連続的に排出する必要からカテーテルを留置することがあります。

malignant ascites

 

■症状緩和のための措置

腹水穿刺はある期間、症状を軽減することができます。しかし、腹水の蓄積は一般的によく再発することから、患者のケアは、主に腹水の排出を促進し、症状を緩和する措置に焦点を当てる必要があります。

再発性腹水のよくある問題は、脚の腫れ、呼吸困難、および腸閉塞です。足を高くしてリクライニングした姿勢で休むことで、内臓の圧力が軽減され、下肢(脚)から戻る血流が改善され、体液排出が増加します。

液体は非常に重いので、腹水が蓄積すると腸の動きを損なう可能性があります。したがって、特に疼痛管理のためにオピオイドを服用している患者、または他の便秘のリスクがある患者は、便秘をコントロールすることが重要です。腹水は胃からでた食べ物の動きを遅らせるため、吐き気や嘔吐(おうと)を引き起こす可能性があります。

適切な体位は、胃からの食べ物の排出を促進します。多くの患者は右側に横たわることで吐き気を起こしにくくなります。また、上部消化管の蠕動(ぜんどう:筋肉の収縮運動)を促進する薬剤もこの問題を緩和するのに役立ちます。腹水に関する症状の制御については、主治医にご相談ください。

 

 <このがん情報は米国PanCANで作成・監修されたものを、PanCANJapanの責任で翻訳、提供しています。日本の状況と多少異なる点もあります。ご自身の症状、治療方法につきましては、主治医にご相談下さい。無断転載禁止>

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